将棋ソフトに「ボナンザ」がある。ボナンザは人間の棋力でいえば五〜六段といったところか。
将棋道場で四段で指している私も平手で1回しか勝てたことはない。人間の五段と指したら、
もっと勝率がいいので、六段くらいあるかも知れない。
将棋ソフト同士の戦いも「ボナンザ」がダントツだ。
激指し、柿の木、東大、AI将棋とさまざまある。
将棋ソフトで「ボナンザ」が一番強い。
人間では、考えつかない、早い時期での桂馬飛びなど、一見ヘボのようで実はヘボではない。
何せ、六段はあるのだから。
何故、この局面で桂馬を飛ばすのかはコンピュータならでは手の打ち方かも知れない。
物事を順序立てて考えるための訓練として将棋はお勧めだ。
現状をみて未来に対処するために、何らかの手を打つ。
相手の行動に応じてこちらの打つ手を変える。未来を予想して最善手を考える。
手を打つ時は、AかBか、どちらか一方に必ず物事が進むように行動する。
飛車や角を使う時は、どちらか一方へ進めるところを探して駒を置く。
将棋の場合、人生と違って繰り返しがきく。
負けても、そのやり方を変えれば、結果が変わる(つまり勝つことが出来る)ことを将棋から学べる。
また、強くなりたければ、自分より2ランク上の人と将棋を指し、負け続けることによって強くなり、その結果、自分も成長していけることを学べる。
将棋は頭を活性化させるだけではなく、
人生においても、その考え方を応用することが出来る。
ある暑い夏の日。駅前バスターミナルから東の海沿いへ歩いて15分ほど向かった所に小さな乾物屋がある。
そのとなりの広い敷地内にサーフィン好きの素敵な女の子の家があった。
家の近くまで行くと彼女が弾くドヴィッシーのピアノ曲が聞こえた。その家の呼び鈴を鳴らすと、花のような笑顔で彼女が出てきた。
白のワンピースに麦わら帽の彼女は小麦色に焼けた肌をしていた。
サーフィン好きといっても彼女は、実際にサーフィンは出来なかった。
「今朝は6時に起きてあなたが来るのをずっと待ってたんだから。」そういってスカートの両端を広げてバレリーナのように頭を下げた。
まるで映画のようだと僕は微笑んだ。アンドレジッドの狭き門を思わせる白のワンピースにエメラルドの首飾りを胸につけた彼女を乗せて車で1時間半ほど走った。
音楽好きな彼女がこれをかけてといって、ハイドンのセレナーデを車の中で聴いた。モーツアルトも入っていた。
彼女は、時々膝の上で一眼レフカメラでカメラマンのようにファインダーをのぞいたり、写真を撮るまねをしたりして遊んでいた。
「もうすぐ着くわ。」と一言彼女が言った。太陽がまぶしい大瀬戸海岸に着いた。
猛暑の中、人はまばらで、遠くの民家で犬がけだるく鳴いているのがかすかにきこえていた。
パラソルの中でイチゴシャーベットを食べてから40分ほど海で泳いだ。
波が来るたびにキャッキャッ言ってはしゃいでいる。浮き輪で泳ぐ彼女の傍らで僕も時々その浮き輪につかまって泳いだ。
僕は先に海から上がった。後からパラソルの中に入ってきた彼女の髪から水しずくが銀色のシートに落ちた。
シャワーを浴び新しい服に着替えてから、車を飛ばし、彼女を家へ送り届けた。
某雑誌のモデルとして2年間彼女の写真を撮ってきた。その彼女が、今度アメリカのある有名大学へ留学が決まった。
大瀬戸町の彼女に会ってからもう10年以上の歳月が経っているが、あれから一度も会ったことはなく、今後もたぶん二度と会うことはないだろう。
子供のころから宇宙の話しやUFOの話し、そして幽霊の話しなどに興味があった。
証明は出来ないが、つじつまの合う結論は導き出せないかと考えていた。
い ろいろな人の考え方があり、興味の無い人もいるだろう。
逆に専門に研究している人たちも世界にはいる。
ここで書くことは、そういう人たちと論争することで はない。
ただ、生きていくうえでどうでもいい問題を考えるのが好きで、「にわとりが先か卵が先か」のように答えが通常出せないであろうことを、考えてみた だけである。
10年くらい前に、友達にこういわれたことがあった。
「もし、宇宙の果てがどうなっているのかを答えられるなら、信じてもいい」とのことで、 つまり、普通なら答えられないことを教えてくれたら、おまえを認めようということだろう。
確かにそうだ。とその時思った。宇宙の果てねえ。誰も見たことは 無い。答えられる人なんかいないなと。
天文学者は、地球から宇宙の星を観測すると、遠くの銀河や超宇宙星団などがどんどん遠ざかっていくことが分かるとい う。
しかもそのスピードは、地球から遠くへ行けば行くほど速くど遠ざかっているらしい。
そこで宇宙は膨張しているという結論になるということだ。
風船にご 飯粒をつけて、それを膨らませた例を載せている本を小学生のときに見た記憶がある。
この風船のように宇宙は膨張しているということだ。
ずっと長い間、この 風船の例から、ああそうか宇宙はこんな風に膨張しているのかと信じていた。
それなら、宇宙の果てはどうなっているのかという考えや、宇宙の外はどうなって いるのかなんてことも考えてみたくなる。
ビッグバンから始まって、宇宙は現在も膨張しているらしい。
しかし、こういう考え方もあるのではないか。つい最近 ハッとひらめいた。
実は宇宙は膨張していない。光の速度で138億光年とか160億光年といろいろな本に数字が書いてある。この数字は推測だろう。1兆光年はさすが に読んだことはないが、光の速度でたとえ10兆光年進んでも宇宙の果てにはたどりつけそうに無い。
なぜなら、宇宙には果てが無いからだ。ただ、ビッグバン 以来、星は移動しているが、それは移動しているのであって、宇宙が膨張しているでは無いということだ。
そう考えると、宇宙の果てはどうなっているのかの答 えは、宇宙には果てがない。よって見ることは出来ない。果てというものがないのだからというのが結論ではないか、とういうことだ。だから、宇宙の外の世界 もない。こう考えると私は納得できるのだ。
ただ、別世界はあるようだ。これも証明は出来ないが。この三次元宇宙の物質 はその存在位置を特定できる。しかし、UFOや幽霊などが引き起こす、瞬間移動を考えると、もしそれが、本当にそうだと仮定すると当然それらは、物質では 作られてはいないことになる。
つまり、もともとこの物質世界のものではなく、外の世界から、エネルギーとして入り込み、いろいろな姿に変化するが、この世 界にあるべき位置をもともと持っていないといえる存在だと考えられる。だから、捕まえられない。音を立てたり、目に見えたり、写真に写りはするようだが、 物質ではないため、捕らえることが出来ない。
人間を翻弄している、超越的存在のようだ。そんなものはいないんだよ、というのは確かにこの世界にはいないと いう意味で正しい。こちらからは、行くことが出来ない世界だから、あるとも無いともいえない。
しかし、別世界からは、この世界に入ったり、出たりしている ようだ。
それでは、この辺でとりとめのない、証明できない、子供のころからの疑問の勝手な謎解きは終わりにしたい。