エルサレムでの王、ダビデの子、伝道者のことば。
空の空。伝道者は言う。空の空。すべては空。
日の下で、どんなに労苦しても、それが人に何の益になろう。
私は、日の下で行われたすべてのわざを見たが、なんと、すべてがむなしいことよ。風を追うようなものだ。 (伝道の書1:1~3、14)
もし神が存在していないなら、人生には意味がない。それが、人類が経験してきた悲劇の歴史である。
力を誇り弱い者を虐げてきた者たちもいずれは死んでゆく。神を信じない人たちの滅びの美学であり、
神を信じない日本人にとってなじみのある人生観である。「人生は空しい」とソロモン王も語った。
参考文献
祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり。沙羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらはす。奢れる人も
久からず、ただ春の夜の夢のごとし。猛き者も遂にはほろびぬ、偏ひとへに風の前の塵におなじ。
『平家物語』冒頭部分です
【現代語訳】
祇園精舎の鐘の音は、「諸行無常」、つまりこの世のすべては絶えず変化していくものだという響き
が含まれている。沙羅双樹の花の色は、どんなに勢い盛んな者も必ず衰えるという道理を示している。
世に栄えて得意になっている者がいても、その栄華は長く続くものではなく、まるで覚めやすい春の
夜の夢のようだ。勢いが盛んな者も結局は滅亡してしまうような、風の前の塵と同じである。